十一面千手観音菩薩
大辨財天
蔵王権現
八臂辨財天
「私はみほとけを謹刻することによってのみ、生かされている」
大慈悲の宇宙へ渾身の技と熱意を結集させる
17歳の時の弟の死。松本明慶師はその無念の想いからがむしゃらに木と対峙する日々が始まり、広大な仏教の世界へと心を駆り立てられる契機になる。以来43年間、御仏を刻み続けて、ふと気がつくと「みほとけを謹刻することによってのみ、生かされている」己を知る。 大仏師松本明慶師。1962年に京仏師の野崎宗慶師に弟子入り、以降個展や彫刻展、仏像修復などで活躍、京仏師としての地位 を確立。1999年には鹿児島県最福寺に世界最大級の木造仏・大辨財天を完成させて話題となる。「体をはって制作する10メートルを超える大仏から掌にすっぽり収まる小仏も大慈悲の宇宙は拡がります。仏像が人々の祈りの結晶であればこそ、渾身の技と熱意を結集させるのです」。師の哲学である。
松本明慶(まつもとみょうけい)
松本明慶師は京都市にて出生
仏師を志し、京仏師・野崎宗慶師に弟子入り
朝日新聞社・京都朝日会館画廊にて初の個展開催
京都仏像彫刻展にて、京都市長賞受賞
以後1991年、1992年、2001年、2003年、2004年と市長賞を計6回受賞
東京・三越本店にて個展開催。以後、全国で個展開催
京都仏像彫刻展にて、京都府知事賞受賞
以後1993年、1997年、1998年、2002年、2004年と知事賞を計6回受賞
フランス国立ギメ美術館
(ルーブル美術館東洋別館)所蔵の仏像修理を100体担当
総本山より「大仏師」の号を拝命
世界最大級の木造仏・大辨財天完成(鹿児島・最福寺)
真言宗高野山金剛峯寺に惠果阿闍梨尊像を奉納
4月、西国三十三観音霊場第三十二番所・観音正寺に
総白壇による丈六仏(大仏)十一面千手観音座像を納める
広島宮島・大願寺に総白壇による不動明王半迦像丈六大佛を納める
西国八十八ヶ所霊場出開帳御本尊八十八体を納める
西国三十三観音霊場二番和歌山・紀三井寺の総金箔十一面千手観音立像大佛(像高十二メートル)を納める
奈良・長谷寺沖縄別院に長谷観音大佛を納める
御仏を刻み続けることは混迷の21世紀に生きる人々へのメッセージ
仏教の伝来以来、有名無名を問わず多くの仏師たちが千四百年の時を超えて経軌に思いを馳せて、技を競い、感性を磨き、人々の拠り所となる御仏を刻み続けてきた。松本明慶師の作品には、そんな仏師たちの心と技の遺伝子を含有した執念の結晶が滲み出ている。 現在、松本工房で多くの弟子を育成しつつ仏師冥利に尽きる造仏作業に励む師ではあるが、なお葛藤の日々は続く。